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(5)方言のKABE

  方言のKABE

                

この際どちらでもいい事だが、A大学(昼間、補欠合格)とB大学(夜間)の2つに受かったあっしが選んだのは


もちろん「A大学」でした。・・・単純に第一志望だったからで、第二志望のB大学は、


二部(夜間部)とはいえ、司法試験合格率私大ナンバーワンの大学だったので、『日本経済新聞社』さんは、


いわゆる世間的な評価だけで先に合格の報告をしてあったB大の手続きをしてしまっていた。


だから、あとで『補欠合格』が分かったA大学の報告をした時に力一杯怒られやした。


また、高校の職員室に貼ってあったのを見てガクゼンとしやしたね。

「二部」とは書かずに「B大学法学部合格」と書いてある。

・・・「A大学」は書いていなかった(怒!)


もうひとつ、これも『今となっては』どうでも良い事なのだが、

石川県出身のあっしとしては初めの頃、どーしても東京弁に馴染めなかった。


元々【とつ弁】だったあっしが、東京に来る途中の電車の中で

『~でサア・・・』『・・・カッタリぃ~!』とかが聞こえてくるのが

最初の恐怖体験だったでやんす(笑)


よく聞かれるのが、『石川県の言葉って関西系?』という質問でやんす。


どちらかというと、関西系なのかもしれないが、『石川県』そのものでやんすな、これに関しては。


それだからといって、地元の言葉を貫き通そうって事より、

その地その地で順応していく人が多いんじゃないかなあ。。。


大学内でも、あっしの目から見て「坊ちゃん坊ちゃん」したヤツ等の

『~でサア・・・』『・・・カッタリぃ~!』って言葉が聞こえると

どうも気分が良くない。(すみません。関東の方お気を悪くなさらないで下さい。

・・・まだ20歳前のことでやんすから。)


それが故にクラスのヤツ等と話するのがとても億劫になったでやんす。

しかも、高校からエスカレーター入学した人間がクラスの半分近くいる。

「浪人生」が、ほとんど居ない。しかも優秀と来たもんだ。

・・・気後れもあったんだろうか。初日の自己紹介や『コンパ』でもカラ元気しか出なかった気がしやすね。


あっしから見て、とても子供っぽく見えたりするし、何よりも裕福な家庭の子息ばかりで、どうしても馴染めなかったんでしょうね。


こんなことで、あっしはますます「居場所」としての大学に魅力を感じなくなりやした。


ところが・・・、だ。

販売店に入ると、そんな恐怖は吹っ飛びやしたねエ。

最初に話した奴が北海道は利尻島。次が新潟県三条市。その次が宮城県。

彼らが一生懸命「標準語」を話すのに、あっしの心はホダサレやした(^_^)


そして神奈川県綾瀬市。この、綾瀬の「徳さん」があっしと一番ウマがあった。

見た目も根性も性格も、店の中では優れていると思った。

大の「トラ」ファン。もちろん阪神タイガースの事だが、

それだけではなく、『寅さん』のファンでもあった。

・・・そしてコイツとは『一生の友』となれる気がしやした。


新聞販売店では月末25日を過ぎると、約400件の集金を30日、

もしくは31日までに90%、よく5日までに100%達成しなければならない。

だから、『いかに効率よく集金するか』が大命題なのだが、

その要領のひとつが『言葉』なのだ。

『方言』丸出しだと、出身や大学など、要らん質問をされて時間が掛かりすぎる。

だから、どうしても「標準語」をマスターしなくてはいけなかったんです。


・・・とはいっても、集金に必要な言葉だけを機械的に反復練習ですな。

400件も、毎月集金するんですから自然に方言は消えてしまい、

以前あっしが怖いと思った、『~でサア・・・』『・・・カッタリぃ~!』を

自ら使うようになっていきやした。

(2003・11・12)

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